福岡県筑紫野市の老舗旅館「二日市温泉 大丸別荘」が、週１回以上必要な浴場の湯の取り換えを年２回しか行わず、また、消毒用塩素の注入も怠っていた事で、基準値の最大3700倍のレジオネラ属菌が浴場から検出されて話題になっています。
大丸別荘側は、2022年8月の保健所の検査で、大浴場から基準値の２倍のレジオネラ属菌が検出された際には「条例通り湯を交換していた」と虚偽報告をしています。その後、同年11月の再検査で最大3700倍のレジオネラ属菌が検出されて、衛生管理が不十分だったと認めました。
これらの衛生管理に対する怠慢行為は山田眞社長の指示だったようで、今回はその社長について調べてみました。
大丸別荘5代目社長の山田真は敏腕！？
「二日市温泉 大丸別荘」とは
慶応元年(1865年)に「田代屋」という屋号で創業し、その後「大丸別荘」と名を改め150余年伝統を引き継ぐ老舗旅館です。昭和24年には昭和天皇が福岡へ行幸の際に御宿泊されたこともあります。6500坪もの広大な敷地の中心には3500坪の日本庭園があり、庭園を囲む形で大正7年築「大正亭」、昭和45年築「昭和亭」、平成元年築「平安亭」の3つの宿泊棟及び1戸建ての「蓮魚庵」、大浴場「次田の湯」などが並んでいて、一度は泊まってみたいと思う人も多いのではないでしょうか。
5代目社長の山田眞氏は総支配人・料理長を兼任。施設の設計も。
2013年に大丸別荘について書かれたブログの中に、山田真社長について記した一文がありました。
二日市温泉の名門 大丸別荘です。慶応元年の創業です。（１４７年目です。）
ロビーは、優雅で素敵な空間です。社長の山田真さんは、総支配人・料理長を兼任する謙虚で素晴らしい経営者です。館内の無駄なく行き届いた配慮、料理も華美でなく美味しい逸品の心配り、どれも、苦労人の山田社長の経営哲学を感じます。
引用：https://www.tsukaki.com/kizaemon/2013/1238/
文章の中で、山田真社長が当時は大丸別荘の総支配人と料理長を兼任していたと記されています。大丸別荘程の規模の旅館で、しかも兼任となると、相当の敏腕ではないでしょうか。ただ、2019年の時点では総支配人は外れたようです。
また、平成22年（2010年）2月23日に山田真社長の事を紹介していた記事がありました。
「こんな旅館が福岡に１つあってもいい。オンリーワンの存在でありたい」と５代目の山田真・総支配人（５７）。
外観はクラシックだが、８割は創業当初の建物をリニューアル。鉄筋コンクリート造りで耐震性や防音性などを確保しながら、あえて古めかしい内装にした。コストは通常の倍かかったという。
日本庭園や大浴場は山田さんの設計。１０品以上の会席料理メニューはすべて毎月（替わ？）る。これも自ら考案する。「福岡都市圏という消費者の–あるのは武器。必要とされれば残っていく」
ここにも社長の敏腕ぷりが記されていますね。
大丸別荘5代目山田社長の正直過ぎる！？釈明会見にネット騒然！
2023年2月28日に、山田真社長が、基準値の最大３７００倍のレジオネラ属菌が検出された問題についての謝罪会見を福岡市内で開きました。
大丸別荘の衛生管理問題について、事実経緯は新聞報道の通りです。このような事態に至ったことは、福岡県民の皆さまに対してはもとより、全国の大丸別荘のご利用者の皆さまに心よりおわび申し上げます。~ 中略 ~
このような事態に至ったのは、代表者としての私自身の法律に対する認識が甘く、かつレジオネラ属菌はどこにでもある一般細菌というような安易な考えで、また、大浴場は温泉かけ流しなので、かなりお湯が入れ替わっているから大丈夫と考えておりました。そのところに大きな過ちがありました。また、塩素を注入しなかったのは、塩素の臭いが自分の体質に合わず嫌いだったという身勝手な理由でございまいた。~ 中略 ~
2019年１２月以降は温泉がかけ流しであるという現状を踏まえ、ついつい管理が不十分になり、今日に至った次第です。
~ 中略 ~ 保健所からの令和4年8月の調査によりレジオネラ菌が基準値の2倍検出されましたが、その際、当方は虚偽の書類を提出し「冠水塩素の注入は適性であった」と説明してきました。しかし、これらは新聞報道にもありましたように、虚偽の資料による不適切な対応でありました。~ 中略 ~ 今回の福岡県の調査によって、当社の不正行為が明らかになり、福岡県保健所の関係者の皆さま、そして福岡県民の皆さん、ひいては大丸別荘をご利用いただいた多数の皆さまを裏切るような行為をしたことは本当に申し訳ありませんでした。深く深くおわび申し上げます。
私は今回の福岡県保健所の抜き打ち検査によって、当社のずさんな対応が明らかとなり、これらの行為がいかに県民の皆様へ当社の温泉を利用して下さった皆様の健康を全く顧みない悪行であったという事をつくづく知らされ、かつ、反省させられました。
幸いに生命の危機にさらされた方がいらっしゃらなかったことは不幸中の幸いでした。
当社開業の年、1965年から数え160年とならんとしている中で、こんな恥ずべき行為をしたことをご先祖様に申し訳なく思い、当社を支えてくれた従業員の皆様に対しても申し訳なく思う次第です。今後許されるなら法律を順守し、浴槽を整備し、換水を適正に実施し、塩素濃度を適正に守っていく所存であることを心から誓約いたします。そして、関係者の皆様に深く謝罪申し上げる次第です。
会見での山田真社長は、冒頭では約5秒感深々と頭を下げましたが、その後は手元の文章を淡々と読み上げました。
謝罪でありながらも、一見、納得がいっていないのでは？ともとれる淡々とした様子にネットでは様々な意見が出ています。
- 例のレジオネラ菌3700倍の大丸別荘の山田社長、人前に出て記者会見するにはあまりにも正直すぎて無理ですね・・・ あれでよく社長を務めていらっしゃるとびっくりします。
- 大丸別荘の社長正直すぎて笑う
- この社長 反省してないでしょ。
- 大丸別荘の社長の会見なんだかねぇ… ほんとに反省してる？
- 大丸別荘の謝罪会見、社長から反省している感じも伝わってこないし開き直ってる感満載で上から目線だよね〜
- 大丸別荘の社長の記者会見、全然反省してる感じが伝わってこないな…そんな認識の社長ではまた繰り返すのではと不安。異論を唱えてた従業員さんもいたというのに…
- 大丸別荘の社長、なんか反省を感じないんだけどこういうテキトーな事をやっている宿泊施設の食事なんかもテキトーにやってるんだろうなって思われて全ての信用を失いかねないんだよね。
- 大丸別荘の社長は反省してないね 認識甘かったって甘いレベルじゃない
やはり、厳しい否定的な意見が多いですね。
- 大丸別荘の社長さん、正直すぎて逆に潔いな。
- 大丸別荘の社長、開き直りなのか正直過ぎて草。クソみたいな言い訳する政治屋よりは潔くてはるかに良い。
- 国民のせいにしたり民主党のせいにしたりいい年したおじさんが情けないことこの上ない。その点では大丸別荘の社長は責任転嫁したりせず正直に認めてて潔かったと思うけどね。
- 大丸別荘のレジオネラ菌事件の山田社長。レジオネラが大した菌じゃないは完全に大間違いだけど、私は嫌いじゃない。正直だなーって思った。
- 大丸別荘の社長、全部正直に話してる分、まだマシに見えるのおかしいよな……でも包み隠そうとしたりもみ消したりしようとするよりはずっといい。
- 大丸別荘の社長、正直すぎる会見で好感が持てるｗ
厳しい意見が多い中、逆に、自分の感情を隠さないともとれる様子に好意的な意見も少なくありませんでした。
大丸別荘5代目山田社長が辞任。そして死亡。
記者会見後の3月2日に山田社長は責任を取り辞任をしました。3月8日に福岡県が刑事告発。県警が公衆浴場法違反容疑などで旅館などを家宅捜索。山田前社長に対する任意の事情聴取も行われました。
そして、記者会見から約2週間後の2023年3月12日、筑紫野市の山道で遺体が発見されました。近くには車が駐まっており、車内からは「あとは頼む」と遺書が発見されたそうです。
まとめ
今回の老舗旅館の衛生管理問題は思いもしなかった事だったので、大変驚いた人も多かったと思います。歴史ある旅館を運営してきた山田真社長のかなりの敏腕ぷりを記す文章が出てくる中で、今回の衛生管理を怠った件に「どうして」という思いが出てしまいます。今回の件は老舗旅館の歴史に衝撃を与えてしまいましたが、これからも多くの人が憧れる旅館であり続けていて欲しいです。